認定NPO法人 ファーストアクセスは2014年10月3日、東京大学の山上会館にて東京大学の国際協力学生団体 GREEN HEARTSと共催で低炭素社会実現のための技術をテーマとした国際イベント「京炭素会議 2014 -最先端の水力技術」を開催しました。

このイベントは株式会社東芝様および富士電機株式会社様の助成金により実現したものです。
(以下、敬称略)

開会の挨拶 Opening Remarks

GREEN HEARTS 代表 太田ひと実 (東京大学 理科二類)/認定NPO法人 ファーストアクセス 大野 嘉久
太田代表がGREEN HEARTSの活動結果を伝え、大野理事長は3日前の2014年10月3日に「認定NPO法人」の審査に通過した事を報告しました。

講演 Lecture

「ブラジルの水力発電政策−実績およびビジョンについて」アンドレ・アランニャ・コヘーア・ド・ラーゴ 駐日ブラジル大使

ブラジルのラーゴ大使はかつてブラジル外務省のエネルギー部長やRio+20の首席交渉官、そして気候変動会議の首席交渉官を務められてきたエキスパートだけあって大使ながらエネルギー問題に造詣が深く、ブラジルがいかに水力発電を上手に使ってきて、現在はさらに風力の開発も進めていることを説明してくれました。

講演 Lecture

「低炭素経済とエネルギー安全保障」東京大学公共政策大学院教授 田中 伸男(日本エネルギー経済研究所特別顧問、前国際エネルギー機関 事務局長)

田中伸男前IEA事務局長は「低炭素経済とエネルギー安全保障」という講演を通じて気候変動問題およびエネルギー安全保障における再生可能エネルギーの位置づけを有機的に解説し、"炭素"というテーマに全く新しい視点から切り込んで下さいました。エネルギー安全保障の問題においてはイラク情勢やウクライナ問題、イラン制裁を取り上げ、また生産サイドからは非在来型エネルギーの可能性と制約、そして2015年パリ気候変動会議(COP21)の見通しも解説されました。

プレゼンテーション Presentation

「水力発電の概要および技術発展史」「東芝の水力発電技術・事業について」株式会社東芝 執行役常務 電力システム社 電力・社会システム技術開発センター センター長 風尾 幸彦

風尾常務は日本において水力発電が果たしてきた役割と開発された技術の変遷を分かりやすく解説して下さり、そのうえ東芝が誇る水力技術「高精度流れ解析技術」や「可変速揚水発電」「小水力発電」について、動くコンピューターグラフィックスも用いてご紹介して下さいました。また、東京電力・葛野川揚水発電所や米ミシガン州ラディントン揚水発電所など、東芝さんの豊富な納入実績も紹介して下さいました。

プレゼンテーション Presentation

「富士電機の水力発電技術・事業について」富士電機株式会社 社会・社会インフラ事業本部 発電プラント事業部 水力プラント部 小水力担当部長 工学博士 大和 昌一

富士電機の大和部長は小水力のメカニズムや基本的な構造、タイプ別の特性などを図解して頂き、恐らくほとんどが初めて小水力についてまとまった話を聞いたであろう外交官やビジネスマン、そして学生に分散電源としての可能性を解き明かしてくれました。

パネルディスカッション Panel Discussion

「低炭素時代における水力発電事業のビジネス・チャンス」
パネリスト
 ・駐日ブラジル大使館 科学技術部 部長 ヴィートル・バイーア・ジアス
 ・株式会社 東芝執行役常務 風尾 幸彦
 ・富士・フォイトハイドロ株式会社 取締役 品質保証部長 中村彰吾




モデレーター
 ・田中 伸男 東京大学公共政策大学院教授
 


最後は田中事務局長をモデレーターとしたパネル・ディスカッションになり、今後のブラジルにおける水力ビジネスの方向性や世界的な水力事業に関する技術トレンドと市場トレンドを論議しました。ブラジル大使館からは若きヴィートル・ジアス技術部長、そして富士電機さんからは中村取締役部長も加わり、客先からの鋭い質問もあって活発な論議が交わされました。

MC
Minh-Marie Dang-Vu (東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 国際人材養成プログラム/GSP)